工務部 髙森 毅一さん
(北日本新聞 平成29年 3月30日 抜粋)
「猪谷楡原道路」は、国道41号の富山市楡原から猪谷間7.4kmの道路であり、現在の雨量規制区間や、冬期の交通障害の回避を目的とした事業である。
2010年に一部が供用され、現在は道の駅・細入の南側が工事中だ。大雨の時などに通行規制がかかる区間を迂回する新道を神通川対岸に通す大がかりな工事で、高田組(富山市宝町、高田均社長)は片掛橋(仮称)の橋脚を含む建設を担当している。
○完成時のうれしさ格別○
現場責任者を務めているのは工務部の髙森毅一さん。最も心掛けているのが作業中の安全確保だ。「一瞬の不注意によって事故が発生すれば多くのものを失ってしまう。この現場は通行量の多い現在の国道と隣接して作業を行う箇所もあり気が抜けない」。現在は降雪期のため工事は中断しているが、4月からは高さが30mに達する橋脚の建設に本格的に着手する。「末永く残る構造物を手掛けることに喜びを感じる。同僚と協力してしっかりやり遂げたい」と話した。
39歳の髙森さんは13年の入社。一旦は別の業界で働いたものの、建設業で感じたやりがいを忘れられなかったという。「夏は暑く冬は寒い屋外での仕事は楽ではない。しかし、完成した時に感じるうれしさが違う」
○家庭との両立へ配慮○
高田組は「人は会社の宝であり、未来です」をモットーに掲げ、「元気とやま!子育て応援企業」に登録している。工事の進捗状況によってはカレンダー通りに休めないこともある仕事だが、「忙しくても子どもの行事には参加させてあげたい。交代で休める体制と助け合う雰囲気づくりに努めている」(黒川洋行工務部長)。
髙森さんも小学生の息子と娘がおり、「野球をしている長男の試合が勤務と重なったときに同僚に頼んで休ませてもらった。工事が終わるとまとまった休暇を取れるように配慮してくれるのもありがたい」と話した。
若手技術者の育成にも力を入れており、高校生3人の入社が内定している。建設業では担い手不足が課題になっており、同社は働きやすい職場づくりを進めながらじっくりと人材を育てていく考えだ。
富山県と富山県建設業協会が主催する、”建設業の役割、重要性、魅力を伝える”『高校生を対象とした出前講座』。
当社からは堂口専務が赴き、”建設業の魅力”として、工事完成時の達成感を伝えました。
(日刊 建設新報 平成28年12月14日 抜粋)
「建設業は地図に残る仕事と言われる。現場の所長になると1つの会社の社長になると考えても過言ではない。先輩の話が理解できず、仕事ばかりがたまり、入社1年目の12月ごろに会社を辞めたくなった。途中で投げ出したくないので、現場の工期である3月に辞めるつもりだったが、その時に、もやが晴れ渡り、今まで感じたことのない達成感を感じた。それにとりこになって、今に至っている。」
建設業は、車や人が歩く道路を作っている、災害が起こったときに川が氾濫しないように岸を作っている等、私たちが生活していくなかで必要な産業であることを理解してもらい、「仕事」として”やりがい”を持って携わって貰いたいと思います。
○最前線は子育て世代○
昭和4年創業の高田組(富山市宝町、高田均社長)は長年、立山カルデラ砂防をはじめとする砂防工事や鉄道関連工事で実績を残してきた。伝統を受け継ぐ若手の育成を目指し、働きやすい職場づくりに力を入れている。
現在、工事現場で中心となって活躍しているのは30、40代の子育て世代の技術者たち。43歳の山田昌文さんもその一人で、国土交通省神通川水系砂防事務所から受注した岐阜県高山市奥飛騨温泉郷での砂防えん堤補修工事で現場監督を務めている。現地は焼岳をまじかに望みペンションなどが立ち並ぶ観光エリアにあるが、作業は常に危険と隣り合わせ。
強い雨が降れば一気に激流に襲われる恐れがあり、雨量計や土石流センサーによる警戒が欠かせない。豪雪地域でもあり、工期は4月から10月まで。今年は台風の相次ぐ接近などで工程が当初の計画よりも遅れて気をもんだ。
現場近くの民宿に泊まり込み、週末に富山市内の自宅に帰る。小学5年の長男、同2年の次男と遊ぶのが楽しみで、「最近は釣りによく行きます。職場が山中なので海に出掛けると気晴らしにもなります。家に戻った時ぐらいは子どもの相手をして、妻の負担を少しでも軽くしてあげたい」と話した。
○お互い様のチカラ○
建設業という仕事柄、工期が迫るとなかなか休みがとりづらいケースはある。だからこそ同社では福利厚生の充実だけでなく、制度が利用しやすいよう社員が助け合う雰囲気づくりを重視している。「子どもの急病など困った時にはお互いさまで休みの融通が利くという安心感がある」と山田さん。工事が終わると、まとまった休暇をとり家族旅行に出掛けることが多いそうだ。
○人を守り、人を育てる○
社長自ら「人は会社の宝であり、未来です」というモットーを掲げ、社員の意見を取り入れて制度を見直している。毎年春の休日に社内安全大会を開くが、今年は社員の子どもたちの運動会の日程と重ならないように配慮して開催日を決めた。
「元気とやま!子育て応援企業」に登録しており、2013年には「元気とやま!仕事と子育て両立支援企業」に選ばれて県知事表彰を受けた。高校生のインターンシップにも積極的に取り組んでいる。